幼児教室にはどんな効果がある?効果があるのにないと言われる理由も説明します
更新日:2024/04/12
近い将来、今ある仕事の多くはAIがまかなえるなどと言われると、幼い子どもを持つ親は子どもの将来に関して不安に思うこともあるでしょう。さらに、学歴格差社会やICT教育、大学入試改革などを前にして、子どもをどうやって育てればよいのか、親の悩みは尽きません。
子どもを幼児教室に通わせて、英才教育をほどこせばよい人生が送れるのでしょうか。
その答えは、ある意味YESで、NOでもあります。この記事では、幼児教室にどんな効果があるのか説明しますので、ぜひご一読ください。
目次
科学的に証明されている幼児教室の効果
皆さんは幼児教室に何を期待しますか?一人で文字が読めるようになることでしょうか。それとも、絵が上手に描けるようになることでしょうか。確かに、幼児教室にはそういった効果が得られるという側面もあります。
しかし、それは幼児教室本来の目的から派生的に得られる効果に過ぎません。実は幼児教室が本当に目指す効果は、すぐに目に見えるものではないのです。
幼児教室に通うと将来勉強で良い成績を修めやすくなったり、スキルの必要な職業への就職率や持ち家率が高くなったりします。これは、科学的に証明されていることなのです。
脳は幼児期に9割が作られる
「スキャモンの発達・発育曲線」によれば、脳は3歳までに80%が、そして6歳までに90%が作られるとされています。一方、身体の発育はゆっくりとなだらかで、20歳ぐらいにようやく100%の成長を迎えます。
つまり、小学校に上がるまでの幼児期に子どもたちの脳にたくさんの刺激を与えるほど、子どもの脳細胞はたくさんのつながりを作り、発達して、その能力を向上させることができると考えられるのです。
幼児教育が将来の年収や持ち家率に影響
2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマン博士は、経済学の視点から子どもに幼児教育をほどこすべきと主張しています。
子どもに幼児教育を受けさせるのはそれなりにお金のかかることですが、それによって子どもは将来、高い年収を得られるというのです。幼児教育は先行投資であり、そのリターンは6~10%程度返ってくると博士は言います。
ヘックマン博士のその主張の根拠は、とある幼児教育についての研究にあります。幼児教育を受けた人たちと、そうでない人たちを比べた実験の結果を、ヘックマン博士は脳科学の知見などを用いて分析・研究を行いました。
幼児教育の重要性を証明するに至った、有名な研究2つを次に紹介します。
ペリー就学前プロジェクトとアベセダリアンプロジェクト
ペリー就学前プロジェクトは1962~67年、アベセダリアンプロジェクトは1972~77年に行われたもので、それぞれ低所得のアフリカ系世帯、リスク指数の高い家庭の恵まれない子どもを対象としたものでした。
2つのプロジェクトは異なるものではありますが、大まかにいうと対象の子ども達に幼児教育を施し、その後長きにわたって幼児教育を受けた子と受けなかった子を追跡調査するものでした。
結果、教育を受けた子どもたちは受けていない子たちと比べて年収や持ち家率の面で優位であり、犯罪率や生活保護受給率については低い、という結果が得られたのです。
プログラムを受けた 子供グループ |
プログラムを受けてない 子供グループ |
|
雇用率(40歳) | 76% | 62% |
平均年収(40歳) | 約21,000ドル | 約15,000ドル |
持ち家率(40歳) | 37% | 28% |
車の所有(40歳) | 82% | 60% |
「幼児教室は効果なし」と言われる理由
このように、科学的に幼児教室の効果が証明されているにもかかわらず、巷ではよく「幼児教育は効果がない」と言われることがあるようです。これは、幼児教育を受けさせる大人が、何を期待しているかによるのでしょう。
確かに、幼児教室に通わせたからといって、すぐに才能が開花するわけではありません。みるみるうちに読み書きができるようになるわけでもなければ、計算ができるようになるわけでもないのです。
そんな様子を見ていると、果たして幼児教室に効果があるのだろうかと懐疑的にならざるを得ないのでしょう。ここでは、幼児教室が効果なしと言われる理由として考えられることを2つ紹介します。
「読み書きを詰め込まれる」という誤解
幼児教育については、その内容についての誤解もつきまといます。通常であれば小学校に入ってから行うような学習を早期に行うものだ、と勘違いしている人が少なからずいます。たとえば、ひらがなやカタカナを読み書きすることや、数字や計算をすることを教えるような、詰め込みの「早期教育」と思われてしまうのです。
これは、多くの幼児教室の実態とは異なっています。幼児教室は小学校に入った後、勉強をする段階になってからの伸びしろをできるだけ大きくするためのものです。遊びを取り入れながら、考える力や非認知能力と呼ばれる力を育むことを目的としている教室が多いといえるでしょう。
すぐに結果が表れるものではないため
先述したように、幼児教室に通ったとしてもすぐにわかりやすい効果が表れるわけではありません。幼児教室で行うことは即効性のある勉強ではなく、生涯役に立つ力を付けるために頭を耕しておくことなのです。
耕された頭脳は、小学校で勉強が始まるとその力を存分に発揮するようになるでしょう。そして好奇心が自発的な学習を促し、それがまた新たな学びにつながるというよい連鎖を招きます。このようにして、幼児教育の効果は小学校入学以降にじわじわと出てくるでしょう。
子どもの将来の可能性を広げよう
子どもが将来少しでもよい形で自立し、幸せをつかんでくれることが親の願いといえるでしょう。そのためには幼いうちに、さまざまな可能性を開拓しておいてあげたいものです。
幼児教室が気になっている人は、子どもが楽しめるか、ぜひ一度体験に行ってみることをおすすめします。
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